SUCCESSION METHODS

薬局承継の方法を
正しく理解する

承継方法の選択は、税金・手続き・従業員への影響すべてに関わる重要な決断です。事業譲渡と株式譲渡の違いを、薬局経営者の視点でわかりやすく解説します。

2つの承継方法を比較

薬局承継の多くはこの2つのいずれかに分類されます。まずは全体像を把握しましょう。

BUSINESS TRANSFER
事業譲渡
特定の店舗や事業だけを選んで譲渡する方法。複数店舗のうち一部だけを手放したい場合に適しています。
💡 一部店舗だけ譲渡したい方に
💰
対価の受け取り法人(会社)が売却代金を受け取る。法人税の対象。
📋
許認可薬局の営業許可は引き継げず、買い手が新規申請が必要(数週間〜数ヶ月)。
👥
従業員原則、退職手続き後に買い手が再雇用。事前の丁寧な説明が重要。
⚙️
手続きの複雑さ資産・契約の個別移転が必要で手間がかかる。ただし引き継ぐ範囲を細かく調整可能。
メリット
  • 一部店舗だけ譲渡できる
  • 引き継ぐ資産を柔軟に選択
  • 他の事業を継続しながら売却
デメリット
  • 手続きが複雑で時間がかかる
  • 従業員の再雇用手続きが必要
  • 許認可の再申請が必要
STOCK TRANSFER
株式譲渡
会社全体の経営権を譲渡する方法。手続きがシンプルで、会社ごとスムーズに引き継ぎたい場合に最適です。
💡 手間を最小限にしたい方に
💰
対価の受け取り個人(株主・経営者)が売却代金を受け取る。譲渡益に20.315%の税金。
📋
許認可薬局の営業許可は原則継続。代表者変更等の簡単な手続きのみ。
👥
従業員雇用契約はそのまま継続。従業員への影響は最小限で安心。
⚙️
手続きの複雑さ株主変更・登記変更のみ。迅速かつシンプルに完了できる。
メリット
  • 手続きがシンプルで短期間
  • 退職金活用で節税が可能
  • 従業員への影響が少ない
デメリット
  • 会社全体の譲渡になる
  • 特定店舗だけの売却は不可
  • 譲渡後は経営に関与できない
① 事業譲渡
事業譲渡の詳細
特定の店舗・事業のみを柔軟に選んで譲渡する方法
💴税務・対価
対価の受け取りは法人(薬局を運営する会社)。譲渡による利益は法人税の対象(他の事業利益と合算して課税)
消費税が課税される場合あり(棚卸資産・設備等)
残った法人は継続して税務申告が必要
📋許認可・手続き
薬局の営業許可は引き継げないため、買い手が新規申請(数週間〜数ヶ月程度かかる場合あり)
資産や契約の個別移転手続きが必要
一部の契約(リース契約等)が引き継げない場合あり
登記・手続き費用は主に買い手負担
👥従業員への影響
原則として退職手続き後に買い手が再雇用する形
従業員への事前説明と丁寧なコミュニケーションが重要
退職金の支払いが必要になる場合あり
⚠️注意点
競業避止義務:譲渡後、同じ地域で類似の薬局を開業できない制限が課される場合あり(例:3年間)
債務を引き継ぐ場合、債権者の同意が必要なケースも
引き継ぐ範囲の取り決めを契約書で明確にすることが重要
② 株式譲渡
株式譲渡の詳細
会社全体をシンプルかつスムーズに引き継ぐ方法
💴税務・対価
対価の受け取りは個人(株式を保有する経営者)
譲渡益に対して20.315%の税金(所得税・住民税)が課税
退職金と組み合わせることで税負担を軽減できる場合あり
消費税は非課税(株式の譲渡)
📋許認可・手続き
薬局の営業許可は原則継続(代表者変更等の簡単な手続きで対応)
株主変更・登記変更のみで完了できる
手続きが迅速かつシンプルで、短期間での完了が可能
株式譲渡に関する登記費用は主に買い手負担
👥従業員への影響
雇用契約はそのまま継続。従業員への影響は最小限
退職・再雇用の手続きは不要
従業員の不安を最小限に抑えられる
⚠️注意点
会社全体の譲渡になるため、特定の店舗だけを切り離すことはできない
簿外債務(帳簿に載っていない負債)のリスクを事前に精査することが重要
譲渡後は経営に関与できなくなる

一目でわかる比較表

比較項目 ① 事業譲渡 ② 株式譲渡
対価の受け取り 法人(会社) 個人(経営者)
税金 法人税(他利益と合算) 20.315%(一律)
薬局の許認可 新規申請が必要 原則継続
従業員の処遇 退職・再雇用が必要 雇用継続
手続きの複雑さ 複雑・時間がかかる シンプル・迅速
一部店舗のみの譲渡 可能 不可(会社全体)
節税の余地 限定的 退職金活用で節税可
こんな方に 一部店舗だけ売却したい 会社ごとスムーズに引き継ぎたい

あなたに最適な方法は?

状況によってどちらが適しているかは異なります。下記を参考に、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

① 事業譲渡が向いている方

一部だけ手放したい・柔軟に調整したい

  • 複数店舗を経営しており、特定の1店舗だけを売却したい
  • 一部の事業だけを切り離して、残りの経営を続けたい
  • 引き継ぐ資産・従業員の範囲を細かく選びたい
  • 法人として売却益を活用したい

② 株式譲渡が向いている方

手間を最小限に・スムーズに引き継ぎたい

  • 会社全体をまとめてスムーズに承継したい
  • 手続きの手間を最小限にしたい
  • 従業員の雇用をそのまま守りたい
  • 退職金を活用して税負担を軽減したい
  • 1店舗のみを経営している個人・法人
⚠️

個人間での安易な承継はリスクを伴います

薬局承継には、保険薬局の許可申請・厚生局との手続き・税務・労務など、専門知識が不可欠です。「知り合いに頼んだら手続きが止まった」「税金で想定外の出費が発生した」というケースも実際に起きています。専門家への相談が、オーナー様と患者様・スタッフを守ることにつながります。

どちらが最適か、
一緒に考えます

「自分の場合はどちらが向いているか」「税金はどのくらいかかるか」など、
具体的なご相談は無料で承っています。